マリといた夏

イントロダクション&ストーリー

物語の主人公はソウルで働く青年ナム。ある日、彼のもとに幼馴染のジュンホから連絡が来る。ジュンホは仕事で数年間、海外転勤になるという。久々の再会で話題となるのはふたりが幼い頃を過ごした田舎の話。あの同級生や両親の現在、そんな話題からナムはジュンホと過ごしたあの思い出深い日々のことを思い出していく。それは12歳の夏、この夏を最後にジュンホはソウルへと引っ越すことが決まっていた・・・・。

コラム・見どころ

イ・ビョンホン、アン・ソンギが、声優として出演したことも大きな話題となっている、国際的な評価を受ける韓国の映像作家イ・ソンガン監督による初めての長編アニメーション作品。

アニメーション大国である日本でメジャーな欧米以外のアニメーションが公開されることは稀である。この作品『マリといた夏』は韓流の波(イ・ビョンホンなどの声優としての出演)という背景があるからこそ、日本での公開にいたった作品だろうが、そういった部分を抜きにしても十二分な魅力を持った作品である。実際、アニメーションの世界では国際的な評価をすでに獲得していたイ・ソンガン監督のこの初の長編劇場用作品は世界各国の映画祭などで2002年に上映され、好評を博している。興行的な難しさはあっただろうが、日本ではやっと公開されることになったのだ。

父親を事故で亡くしたことから内に閉じこもりがちの性格になっていたナムはこの12歳の夏に不思議な体験をする。それは犬のような生き物に乗ったマリという少女との出会いだった。それはあるビー玉を通しての出会いであり、親友のジュンホと共有する秘密となる。そして、この秘密はふたりに絶対に忘れることのできない出来事、奇蹟を起こす。

オープニングのカモメが飛んでゆくの追うように空からソウルの街並みを描いていくシーン、そのゆったりとした流れとまったりとした懐かしさを感じるアジア的な色調に自然と引き込まれていく。この映像の色彩とテンポ、ノスタルジーが心地よく、最後までその感覚に乗せられてしまう作品だ。物語のテーストはスタジオ・ジブリの作品に似ている。子供だからこそ体験できたファンタジーの世界がそこにはあり、その世界を少しでも体験することで忘れることのできない何かを自然と獲得し、成長していくのだ。そうした世界は子供の頃は当たり前のように持っていた気持ちかもしれない。だから、この作品は子供よりも大人の方がより楽しめる作品だと思う。大人のための作品ではない。でも、大人こそが少し感傷的な想いも感じながら存分に味わえる作品だろう。イ・ビョンホン目当ての韓流ファンはもちろん、より多くの方に観てもらいたい懐かしく、美しい気分に包まれる作品だ。

キャスト・スタッフ

声の出演:
イ・ビョンホン/アン・ソンギ/コン・ヒョンジュン
監督:
イ・ソンガン
製作:
SIZエンターテイメント
脚本:
カン・スジョン/イ・ソンガン
音楽:
イ・ビョンウ
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