マラソン

イントロダクション&ストーリー

物語の主人公は幼い頃に自閉症と診断され成長した青年とその母親。19歳となった今も幼児並の知能しか持たない青年の好きなものはシマウマ、チョコパイ、そして走ることだ。走ることは何かひとつでも好きなこと、熱中することを手にして自信をつけて欲しいと願った母親が教え込んだこと。その脚は今では市民のハーフ・マラソン大会で3位に入賞するほど。彼自身も自分の脚を“100万ドルの脚”と呼び、母親自身も息子に相当入れ込んでいる。そのため、もう一人の息子である次男と夫との間には大きな溝が生じていた。でも、息子を自立させるために自分がいなければと信じる母親はそんなことは気にせずに、3時間以内でフル・マラソンを完走するという“サブ・スリー”を目標に定め、プロとして大活躍したコーチまで手に入れるのだが。

コラム・見どころ

韓国国内で520万人以上動員という大ヒットを記録した自閉症の青年とその母親の関係を描いた実話ベースのヒューマン・ドラマ。

自閉症児の生み出すユーモラスさ、素直さを交えながら、フル・マラソンへの挑戦を描いていくこの作品は単純に「障害を持った子が頑張りました」というありがちな物語に納めるのではなく、息子に自信をつけるために頑張ってきた母親に「過保護だったのか、自分の欲のために縛り付けていたのか」という疑問と苦悩を生み出させる部分が妙となっている。この部分は自閉症児でなくとも子供を育てている、育てたことのある親なら共感し、考える部分があるはずだ。この苦悩の部分から、そこの部分を子供自らが解き放ってくれるまでの展開は結果がどうなるかが分かっていても、やはり感動的である。

出演は主人公の自閉症の青年役に『ラブストーリー』、『H』のチョ・スンウ、母親役に23年ぶりの映画出演が大きな話題となったキム・ミスク、『黒水仙』のイ・ギヨンなど。監督はこの作品が劇場長編デビュー作となるチョン・ユンチョル。作品のベースとなった韓国では多くの人が知る自閉症の青年と彼を育て上げた母親の物語に共感した監督は自ら彼と共に1年間に渡ってマラソンを体験するなど、より彼に近づくことによってこの脚本を書き上げ、撮影へと入っている。シンプルな物語ではあるが、その中に様々な伏線を張り巡らすなどした練られた脚本、風景の美しさを盛り込みながらゆったりと描いていくクライマックスのフル・マラソンのシーンなど演出面もこれが初監督とは思えないほどの落ち着き、うまさを見せている(次回作も楽しみだ)。

韓流ファンはもちろんだが、その枠に閉じ込めておくにはちょっともったいない、より多くの人々に受け入れてほしい作品だ。

キャスト・スタッフ

出演:
チョ・スンウ『ラブストーリー』『H』/キム・ミスク/イ・ギヨン『黒水仙』
監督:
チョン・ユンチョル
脚本:
ユン・ジノ、ソン・イェジン、チョン・ユンチョル
撮影:
クォン・ヒョクジュン
照明:
イ・ジェヒョク
編集:
ハム・ソンウォン ナム・インジュ
音楽:
キム・ジュンソン
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