初恋のアルバム〜人魚姫のいた島〜

イントロダクション&ストーリー

人がよく、借金の保証人になったおかげで家族まで巻き添えにしてしまった父、そんな父の人のよさに愛想が尽き果ててている母。無口な父と口が悪く、周りを顧みない母。こんな不仲な両親の下で育ったひとり娘は自分がちゃんとした家庭を築けるのかという不安を抱え、彼からのプロポーズにも前向きになれなかった。そんな時に、父親が「疲れた」とだけ言い残し、失踪する。父親が向かったであろう両親の生まれ故郷の島へと向かった娘はあることを目撃するというのが、この『初恋のアルバム〜人魚姫のいた島〜』のストーリーである。

コラム・見どころ

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2005においてヤング・ファンタスティック・コンペティション部門のグランプリ、2004年大韓民国映画大賞女優主演賞などを受賞した初恋を巡る物語。韓国版『初恋のきた道』(チャン・イーモウ監督)ともいうべき作品である。

作品の肝となるのは、両親の生まれた故郷で、娘が若き日の母と父の出逢いの現場へとタイムスリップしてしまうという部分だ。そこで彼女が見るのは、自分が知っているのとは全く違う、健気で引っ込み思案な母と言葉少なだが大らかな優しさに満ちた父の姿だった。自分の両親が初めて心を通わせていく様子“初恋”を見ながら、彼女の内にも新たな両親への思いと前向きな感情が湧き起こってくる。そして、その数日間のシーンを目撃した後、彼女は現代へと戻っている。そこには相変わらず感情がほつれまくった両親がいるのだが、彼女自身の気持ちの変化が多少なりとも両親へと作用していく。

主演は『スキャンダル』のチョン・ドヨン。彼女が娘役と母の若かりし日の2役をうまく演じている。若かりし日の父親役は『殺人の追憶』、『菊花の香り〜世界でいちばん愛された人〜』のパク・ヘイル。ただ、個人的に印象深いのは粗野な母親と寡黙で申し訳なさそうに生きるしかない父親だ。このふたりがいたからこそ、作品が生き、様々な問いを発しているのだろう。

監督のパク・フンシンはこの作品を「母に捧げた作品といってもいい」と語っているが(オープニングに母へというテロップが流れる)、粗野だけど、生き抜くことに懸命な女を感じさせない母親の姿というのには自分なりの想いを持っている人も多いのではないだろうか。そうした部分の描き方と監督にとっては想像であるかもしれない瑞々しい母と父の若き日の姿のコントラストが様々な問いを発しながらも胸を打つドラマとなっている。

キャスト・スタッフ

出演:
チョン・ドヨン『スキャンダル』/パク・ヘイル『殺人の追憶』/コ・ドゥシム/キム・ボングン
監督:
パク・フンシク
脚本:
パク・フンシク、ソン・ヒェジン
製作総指揮:
イ・ジュンドン、チェ・ソンミン
製作:
ジン・ヒムン
編集:
キム・ヤンイル
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