彼女を信じないでください

イントロダクション&ストーリー

詐欺罪で服役中のヨンジュ(キム・ハヌル)は詐欺師としての才能を服役に際しても生かし、仮釈放を手に入れる。出所後、仮釈放のための面接の際に唯一の家族であると語り、涙を誘った姉の元に電話を入れるヨンジュ。結婚する姉のために作った幸せをもたらすという木工の雁を鞄に詰め、彼女は姉の暮らす先へと向かっていた。そんな電車の中でヨンジュが目を覚ますと自分の足の間に手を伸ばし、覗いている男がいた。当然、変態と大騒ぎするヨンジュ。そうではないと弁明する男はヒチョル(カン・ドンウォン)といった。

ヒチョルは薬局を営む薬剤師の男。この日は恋人への大切なプロポーズのために母親の片身の指輪を持って向かっていたのだが、運悪く、その指輪をヨンジュの足の間に落としてしまったのだった。誤解は何とか解けたが、ヒチョルは大切な指輪をぶつかってきた男にすられてしまう。そのことにヒチョルは気付かないが、詐欺師のヨンジュは気付き、駅で降りた男から指輪を取り返すことに成功。しかし、列車は、大切な鞄と指輪をなくした事に気付かないヒチョルを乗せて行ってしまう。仕方なく、ヒチョルの実家へと向かうヨンジュ。そこで様々な偶然の状況が重なり、ヨンジュはヒチョルの婚約者と勘違いされる。一方、プロポーズが散々な結果に終わったヒチョルが実家に戻ると婚約者として、指輪をはめた列車の女が家に迎え入れられていた。その事実に唖然とするヒチョルは誤解を解こうと訴えるのだが、それが全て裏目の結果に出てしまい・・・・。

コラム・見どころ

韓国では『ブラザーフッド』、『シルミド』という大作と同時に公開されながらも120万人の観客を動員するという予想以上のヒットを記録した韓国映画らしいロマンチック・コメディー。主演はTVドラマ「ロマンス」、「HappyTogether」、映画『同い年の家庭教師』のキム・ハヌルと日本では映画『オオカミの誘惑』で多くのファンをつかんだであろうモデル出身のカン・ドンウォン。

とにかく公開される作品の多くが“ロマンチック・コメディー”というタイプに分類される韓流映画なのだが、この作品はそういった中でも笑わせながら、ちょっとほろっとさせるという幅広い層が観ても楽しめるテーストの作品に仕上がっている。前にも書いたが、韓国のコメディー映画は懐かしさを感じさせるのだが、この作品はその懐かしさがいい意味でのバタ臭さを伴っている。そういったバタ臭さを最も感じさせるのが、主役のヨンジュを演じるキム・ハヌルだろう。携帯電話も出てくるし、物語の舞台は間違いなく90年代以降なんだけど、彼女自体はどうみても80年代的(いや70年代か)な格好にしか見えない。このバタ臭さは彼女を嫁として、勘違いして迎え入れる家族たちにも染み渡っている。

考えてみれば、この作品の舞台となる町は、駅に入ってきた電車は電気で走る電車ではなく、ディーゼル車だったし、画面にも埃臭さがあふれてしまうような田舎町だった。田舎町が生み出すいい意味でのバタ臭さが生み出すものを考えれば浮かんでくるのは“人情”でしょう。そう、この作品『彼女を信じないでください』は“ロマンチック・コメディー”という枠を与えられているが、“人情喜劇”の側面も持った作品となっているのだ。それは父親に威厳がありながらも、そそっかしさと愛情が生み出すホーム・ドラマ的な笑いなのです。主人公のヨンジュは鞄を取り戻したいだけなのに、偶然が重なり、嫁と勘違いされ、この優しい家族を裏切りたくないという気持ちと詐欺師としての才能からヒチョルの家族のために頑張り始める。最初は誤解を解こうと懸命だったヒチョルだがそんなヨンジュに少しずつ気持ちを寄せていく。もちろん、彼女も同じ気持ちになっていたのだが、物事がそんなにうまくいくわけがなく・・・・、その後は劇場で作品をご覧になってください。

もうひとりの主人公で、多分、韓流ファンにとってのお目当てであろうカン・ドンウォン演じるヒチョルはボンボンのひとり息子らしく、肝心なところで何一つできないといういい意味では優しく、悪い意味では気の弱い性格の青年。そんな彼が大きな勇気を見せるシーンやギターを爪弾くシーンにはファンはぐっと来てしまうのではないだろうか。

物語自体の伏線の張り方、展開も良くできている“人情・ロマンチック・コメディー”ともいうべき作品『彼女を信じないでください』をぜひ、お楽しみください。

キャスト・スタッフ

出演:
キム・ハヌル『氷雨』『同い年の家庭教師』/カン・ドンウォン『オオカミの誘惑』/ソン・ジェホ/キム・ジヨン/イ・ヨンウン
監督:
ペ・ヒョンジュン
脚本:
チェ・ヒデ
撮影:
ユン・ホンシク
配給:
東京テアトル
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