甘い人生

イントロダクション&ストーリー

ソヌ(イ・ビョンホン)はクールでスマートな存在の男だ。それは一流ホテルの最高のマネージャーである彼にとっては必要不可欠な要素でもある。そして、ホテルの最高のマネージャーである彼にとって欠かせぬ要素がもうひとつあった。それはトラブルに対処するための腕(力)であった。この日もソヌは地下のクラブに居座り続けるチンピラ連中を自分の腕で追い出したばかりだった。

ホテルの社長であり、裏社会の顔役でもあるカン(キム・ヨンチョル)はそんな彼の手腕を高く評価し、ソヌ自身もカンの完璧なる片腕として働き続けていた。ある日、3日間の出張に出るカンからソヌは重要な任務を命じられる。それは社長の若い愛人(シン・ミナ)の監視であった。それもただの監視ではなく、愛人の男を見つけたらその場で殺すか、社長に連絡をし、その指示通りにしろというものであった。女に社長からの贈り物を届け、監視を開始するソヌ。案の定、女には男がいるのを確認し、ソヌは二人がいる彼女のアパートへと乗り込み、任務を遂行しようとするのだが、男を殺しもせず、社長にも連絡を取らず、「今後、二度と会うな。何もなかったことにすれば、問題はない」と男を追い出す。社長の完璧なる片腕であった男の完璧に思える人生は、この出来事をきっかけに大きく転換し始める・・・・。

コラム・見どころ

『JSA』、『純愛中毒』、『誰にでも秘密がある』などの作品で圧倒的な人気を獲得している“韓流四天王”のひとりであるイ・ビョンホンが「これは私の代表作になる」と並々ならぬ意気込みを見せる渾身の作品。韓国を代表する人気音楽グループシンファのリーダーであるエリックの出演も話題の作品である。

イ・ビョンホン主演の究極のラブストーリー、イ・ビョンホン自身が「これは私の代表作になる」などという形で宣伝されているこの作品、一言で表せば、フィルム・ノワール(暗黒映画)である。韓国映画(だけではないが)のひとつの流れとして壮絶な暴力シーンに彩られた作品がある。現在公開中の『復讐者に憐れみを』、『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督やキム・ギドク監督の作品がその代表的なものだが、この『甘い人生』もその系譜に連なる作品である(だから、あまりにも生々しい暴力描写ゆえに韓国では“R-18”に指定されている)。監督のキム・ジウンはハリウッド・リメイクも決定しているホラー作品『箪笥〈たんす〉』で日本でも高い評価を獲得したが、様々なスタイルの作品を手掛けたいと思っているらしく、今回は「美しくストイックに掟の世界に身を置く男たちの、修正不可能な選択」をモチーフに自身も大好きなフィルム・ノワールに挑戦したのだという。イ・ビョンホンの配役は脚本完成前から決定しており、彼の様々な意見が完成した脚本には投影されているという。そういった部分も含めて、イ・ビョンホン自身が「これは私の代表作になる」と断言したのは間違いないだろう。タイトルは『甘い人生』(英題:ABITTER SWEET LIFE)と従来のイ・ビョンホンのイメージである“甘さ”があるように感じるかもしれないが、これは“甘さ”の裏側を描いた男の人生の物語なのだ(だから、彼氏とデートで観たら、彼氏の方が気に入ってしまう作品かもしれない)。

イ・ビョンホンが縦横無尽に動き回るアクションシーン、壮絶な暴力シーン(指を切り落とすシーンなど)はもちろんだが、この作品で印象的なのは目で演技をするイ・ビョンホンだろう。オープニングのケーキをほおばっているシーン、チンピラどもを自慢の腕力で追い出すシーン、女に惚れたことなどない完璧な男がそのことに対し不可思議な感覚を抱くシーンなど様々なシーンでその感情をイ・ビョンホンの目、表情が物語ってくる。当たり前だが、単なる“いい男”ではなく、俳優として優れているということをこうした部分でイ・ビョンホンは確実に証明している。彼のキャッチ・コピーとなっている“キラー・スマイル”がほとんどない作品となっているため、イ・ビョンホンのファンにはこの目の演技を存分に味わってもらえればと思う。映像的にもワイドのカメラを多用し、車や建物のガラスを効果的に使用するなどフィルム・ノワール好きのキム・ジウン監督のセンスが光るものとなっているし、物語的には間違いなく男が好きになる世界が展開されている。だから、甘さを求めるイ・ビョンホンのファンにとっては「ちょっと、きついなあ」という部分を感じるかもしれないが、俳優イ・ビョンホンという点で見れば、間違いなく大きな満足感を得る作品に仕上がっていると思う。そして、ノワール好きにも満足できる作品になっているはずだ。従来の“韓流”、イ・ビョンホンのファンはもちろん、男性を中心としたより幅広い映画ファンに観てもらいたい作品である。

キャスト・スタッフ

出演:
イ・ビョンホン『純愛中毒』『誰にでも秘密がある』/シン・ミナ/キム・ヨンチョル/ファン・ジョンミン
監督/脚本:
キム・ジウン
撮影:
キム・ジイ
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