美しい夜、残酷な朝

イントロダクション&ストーリー

アジアン・ホラー・トリロジー『美しい夜、残酷な朝』の韓国編にあたる作品『CUT』でイ・ビョンホンが演じるのは売れっ子の若手映画監督である。この日の撮影も無事に終え、次の日の準備の確認に余念のないスタッフの質問に監督は答えながら、自宅へと車を走らせる。そして到着した自宅でくつろごうとしていた彼を突然、暴漢が襲う。目覚めると後ろ手にロープを縛られた自分とピアノに縛り付けられた妻、縛られソファーに置かれた見ず知らずの子供、そして黒づくめの格好をした犯人らしき男が立っていた。「俺のことを憶えているか」と様々な身振りを繰り返す男だが、映画監督にはその記憶すらなかった。そして、究極の選択を迫られる恐怖の一夜が始まる・・・・。

コラム・見どころ

イ・ビョンホンと長谷川京子という文字が踊っているため、「二人の共演作品が出来たんだ」などという勘違いを起こす人もいそうな作品だが、これは昨年に公開されたアジアン・ホラー・オムニバスの傑作『Three/臨死』の第2弾に当たる作品。『Three/臨死』では香港のピーター・チャン、タイのノンスィー・ニミブット、韓国のキム・ジウンという3人の監督がそれぞれに素晴らしい作品を撮上げていたが、今回の『美しい夜、残酷な朝』は香港のフルーツ・チャン、日本の三池崇史、韓国のパク・チャヌクがこれまた素晴らしい作品を撮上げている。物語、映像的にもホラー・ファンならずとも必見の作品となっているのだが、ここでは“韓流”ファンのために『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督、イ・ビョンホン、カン・ヘジョンが出演した『CUT』を紹介する。

『CUT』で映画監督を演じるイ・ビョンホンは今までにない姿を見せてくれる。キャップにジーンズ、シャツというラフな服装、そして1日も終わりに近づき、ヒゲも生えかかってきた口元、ここにあるのは才能は豊かだが、人畜無害な平凡な男である。その平凡な男が妻と見知らぬ子供を助けるために様々な醜態をさらしていく。その醜態は自分自身が隠し通し生活していた暗部も明らかにしていく。これは究極の状況に置かれた人間の選択と暗部をあぶりだしていく、一般的なホラーでは括られない人生自体がホラーだろみたいな作品である。パク・チャヌク監督はこうした緊迫した状況をユーモアに満ちた犯人の行動、ピアニストである妻の指が切断されていく状況(パク・チャヌク監督らしい大量に血!)などを交えながら描いていく。自宅とセットの置き換えの構造、オープニングのシーンなど映画的な面白さにも満ちたパク・チャンヌ監督の才能が満ちた作品である(嫌悪感を感じる向きもあるかも)。

先に書いたようにルックスももちろんだが、ここでのイ・ビョンホンは想像も出来ないような恥ずかしいことを演じている。これがファにとってショックなのか、嬉しいのかは分かりませんが。ただ、この作品にイ・ビョンホンはノー・ギャラでも出演を望んだということだけは特筆しておきたい。『甘い人生』にしてもこの作品『CUT』にしてもそこには俳優として果敢にチャレンジし続けるイ・ビョンホンの存在があるのだから。

『CUT』はもちろん、残り2作も素晴らしい作品となっています。ちなみにR-15指定です。

キャスト・スタッフ

出演:
イ・ビョンホン『純愛中毒』『甘い人生』/カン・ヘジョン『オールド・ボーイ』/イム・ウォニ
監督/脚本:
パク・チャヌク『オールド・ボーイ』『JSA』
配給:
角川映画
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