中国の流行語に、「経済適用男」(エコノミー男子)という単語がある。ウェブ百科事典の『百度百科』によれば、これは「身長とルックスは月並み。性格は温和で給料はしっかり家に入れる。月給2000~1万元で家賃を払える経済力がある。お酒・タバコ・ギャンブル・女遊びをしない」男性を指すとのこと。いわば可もなく不可もない無難な男性だが、中国の一部の女性の間では「嫁に行くならエコノミー男子」と人気が急上昇中である。
普通、中国の男性と言うと日本以上に「肉食系」のイメージが強い。お酒・タバコ・ギャンブルは当たり前、お金や権力にギラギラしているかわりに奥さんには豊かな生活を保障する――というのが、中国で成功している「勝ち組」男性のイメージだ。かつては女性の側も、多少はヤンチャでもこのような男性と結婚したがる風潮が強かった。
だが、中国社会が豊かになり都市部を中心に庶民の生活が底上げされたことで、従来にはなかった安定志向も芽生えつつある。ひとまず安定した家庭生活を実現できそうな「エコノミー男子」のブームは、そんな社会背景に基づくものだとも言えるだろう。
中国の質問サイト『百度知道』に寄せられた、エコノミー男子の夫を持つ女性の投稿を紹介してみよう。『百度知道』には普段は恋愛や夫婦生活の悩みが投稿される場合が多いが、今回の書き込みは単なるおのろけである。
【夫がエコノミー男子です】 http://zhidao.baidu.com/question/116489675.html
投稿者によると、彼女の夫はIT業界のサラリーマン。背は高くなく、ルックスも醤油顔、奥さんに甘い言葉を言うこともない。ただし、6年半の結婚生活は非常に平和で、日々の小さな出来事に幸せを感じてしまう毎日であるという。彼女と夫はネットで知り合い、恋愛の後に結婚したが、結婚生活には何の不自由もないそうだ。
「夫は何の趣味もない人でして、何をする時にも私と一緒です。
他人から見ればつまらない人かもしれませんが、私にとっては最高の夫。
結婚生活は幸せです」
エコノミー男子を夫に持つ生活は、あまりに平凡な、しかし幸せな毎日であるようだ。こちらに寄せられた他のネットユーザーの書き込みも、投稿者を羨ましがるものが大部分を占めている。
「いいね。エコノミー男子と結婚してよかったじゃないか」(♂)
「まったく羨ましいもんだ。こういう家庭が一番だね」(♂)
「あ、私の夫もこういう人だわ」(23歳♀)
「本当にうらやましい!お幸せに!!」(♀)
現在発売中のドラマ『中国式離婚』は、平々凡々とした夫に不満を抱く妻の物語だ。しかし、「60後」(1960年代生まれ)世代の妻の目には「不満」と思われるような夫の特徴も、現在の若い中国人の間ではそう悪くないものとしてとらえられているらしい。
社会の変化に従って、「ダメな夫」の基準も変わっていくということだろうか。
