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韓流映画祭2023|第1弾のおすすめ作品&みどころはコレ!

「韓流映画祭2023」キービジュアル

「冬のソナタ」から始まった“韓流”20周年となる2023年。多くのドラマが紹介され、K-POPのコンサートや各種イベントが開催される中で、注目したいのが5月から約5ヶ月、3期にわたって全21作が上映される「韓流映画祭2023」です。いずれも今ではなかなか見られない貴重な作品ばかり。その中から、まず第1弾の上映作品をご紹介します。

特におすすめしたい作品は『オーバー・ザ・レインボー』です。交通事故で一部の記憶を失ってしまった気象予報士が、大学時代の友人の助けを借りて、自分が愛していた人は誰なのかを探すというロマンチックな物語。記憶がなかなか戻らない主人公ジンスの不安感を、「イカゲーム」で今や世界的なスターとなったイ・ジョンジェが初々しさを漂わせて巧みに演じています。回想で描かれる90年代半ばのジンスの学生時代には、昭和レトロにも通じるような不思議な懐かしさを感じるかもしれません。


『オーバー・ザ・レインボー』 ©2000 KangjeGyu Films 2002.AII Rights reserved.

最も注目してほしいのは、ジンスの恋人探しを手伝うヨニに扮したチャン・ジニョンです。この7年後、病のため残念ながら37歳の若さでこの世を去ってしまったので、彼女を知らない人もいるでしょう。それでも映画を見れば、自然な美しさがスクリーンの中に永遠に留められていて、歳月もその輝きを消すことはできないということが感じ取れるはずです。また、「シスターズ」のオム・ジウォンや、「SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜」のキム・ソヒョン、「ミセン-未生-」のシン・ウンジョンら、現在第一線で活躍する女優たちが脇役で顔を出しているのも見もの。ロマンあふれる雨のシーンに心を委ねながら、主人公と共に恋の記憶を辿ってみてください。

今回のラインナップで意外な掘り出し物が、日本初公開となる『ショー・ミー・ザ・ゴースト』です。幽霊の出るワケアリ物件に入居してしまった男女が、引っ越しもできず、家を守ろうと奮闘する姿をコミカルなタッチで綴っています。「偶然見つけたハル」や「ナビレラ-それでも蝶は舞う-」など多くのドラマや映画でおなじみのキム・ヒョンモクと、KARAのハン・スンヨンが共演。2021年の富川国際ファンタスティック映画祭で長編配給支援賞のほか、キム・ヒョンモクが長編俳優賞を受賞しています。ドラマで実績を積んできたスンヨンの演技も好評でした。ただ面白いだけでなく、就活がなかなかうまくいかないヒロインの姿を通して、若者の悲哀が描かれている点に共感できる人もいるのではないでしょうか。


コメディ作品ではもう一作、人気の“家門”シリーズの第3弾『家門の復活』が登場。料理上手で知られ、日本で惣菜店を出店したこともあるキム・スミが、3人の息子と嫁を従えてキムチ事業に乗り出す、元暴力団ファミリーのゴッドマザー役を豪快に演じて笑わせます。

『家門の復活』場面写真
『家紋の復活』©2006 Showbox/Mediaplex and Taewon Entertainment,ALL Rights Reserved.

ほかには、韓国映画を支えてきたスターが出演する作品が多数揃いました。

『燃ゆる月』は神話の世界を背景とした壮大なファンタジー・アクション。ソル・ギョングやキム・ユンジンなどのトップスターと、故人となったチェ・ジンシル最後の主演映画でもあり、彼らの名演は一見の価値ありです。

『燃ゆる月』場面写真
『燃ゆる月』 ©2000 KANGJEGYU FILMS

北朝鮮の捕虜収容所を舞台にした『アルバトロス』はレア度の高い作品。主演のチャ・インピョとイ・ジョンジェに加え、当時は無名だったシン・ハギュンも参加していると聞けば興味が湧いてきます。

『アルバトロス』場面写真
『アルバトロス』©Defense Media Agency

また、国民的俳優アン・ソンギが主演した1986年の時代劇『ファン・ジニ』や、妊活を巡る夫婦の攻防を描くキム・ヘス主演のコメディ『ミスター・コンドーム』に加え、キム・ハヌルとユ・ジテの映画デビュー作『バイ・ジュン さらば愛しき人』と、いずれも豪華スターの若き日の姿を見られる作品が並んでいます。これらの中には、今では韓国でも見られないような作品もあるので、この貴重な機会をぜひお見逃しなく。

『ファン・ジニ』場面写真
『ファン・ジニ』 ©Panavision. Inc.

『ミスター・コンドーム』場面写真
『ミスター・コンドーム』 ©Film Studio 1927

『バイ・ジュン さらば愛しき人』場面写真
『バイ・ジュン さらば愛しき人』©DONG-A EXPORTS CO.,LTD.ALL Rights Reserved.

Text:小田香(おだかおり)
出版社勤務を経てフリーとなり、映画誌で日本映画・演劇の取材・編集を担当。99年から韓国ドラマを見始め、01年より数多くの韓国俳優や映画・舞台関係者に取材。現在『韓流ぴあ』『韓国TVドラマガイド』等の韓流誌を中心に、韓国映画やミュージカル、台湾・中国のドラマ・映画についても各媒体に寄稿している。著書にノベライズを手がけた『イニョプの道』がある。

韓流映画祭2023
「韓流映画祭2023」ポスタービジュアル

2023年5月12日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋にて開催
[鑑賞料金]一般:1,900円/大学生:1,500円/TCG会員1,300円
高校生以下:1,000円/シニア(60歳以上)1,200円
※各種サービス、利用可

おうちでCinem@rt同時開催
[視聴料金]550円
[視聴期間]48時間
https://www.cinemart.co.jp/vod/

公式HP:https://www.cinemart.co.jp/dc/o/hanryu-2023.html
Twitter:@hanryu_2023

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