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中国時代劇から見る、衣装と色の関係:後編|中国時代劇トリビア#1

衣装と色<前編>はこちら⇒ http://www.cinemart.co.jp/article/news/20181105002229.html

ここで、中国の衣装と「色」についてのトリビア情報!中国では万物は五行「木・火・土・金・水」に分けられるとする五行思想の浸透から、先に触れた「五色」がその役割を負い、色自体にも固有の意味が発生します。例えば京劇では、正義の味方の衣装にはこの5色を使い、悪者にはそれ以外の色を使ったりするそう。ちなみに緑の隈取は「凶悪」を表すそうです。怖っ!!

「月に咲く花の如く」場面写真

「月に咲く花の如く」より ©HS Entertainment Group Incorporated

黄色は神聖・皇権・威厳などを意味し、皇帝の特別な色として良く知られていますが、後に海外からのマイナス的なイメージが入って、色情・腐敗堕落などの表現へとつながっていきます。赤は幸福や喜び、婚姻などの吉祥を意味し、黒は厳正、実直、恐怖、暗黒など、そして白は純潔、高貴といったイメージと共に低俗や凶兆、葬儀の意味をもっています。中国時代劇の葬儀のシーンでは、家族が白い衣装を身につけて登場するのはこのためです。

「月に咲く花の如く」場面写真2

「月に咲く花の如く」より ©HS Entertainment Group Incorporated

青は、精錬潔白を意味しており、青と同じ部類として扱われる緑は、平和や希望、幸運などを意味しますが、不名誉や低俗などの意味もあり「花と将軍」の宋元時代では、緑衣は当時低俗な職業と言われた役者や芸人らがきる服装の色とされていたそう。なので、玉瑾が巡城御史着任初日にド派手な緑色(しかも刺繍入り!!)の官服で街を練り歩くシーンは、元遊び人だった玉瑾をバカにしてくれ~!と暗に示した名演出だったのかも!?

「花と将軍」場面写真

「花と将軍~Oh My General~」より ©上海興格文化傳媒有限公司 cShanghai Xingge Culture&Media Co., Ltd

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。

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<参考文献>
白帝社 華梅著 「中国服装史―五千年の歴史を検証する―」
株式会社ナツメ社 能澤慧子監修 「世界服飾史のすべてがわかる本」
京都書院 沈従文編著 「中国古代の服飾研究 増補版」

参照URL
「中国人の色の概念 それぞれの色の持つ文化的意味」 張淑倩
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20180414233502.pdf?id=ART0008373689
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