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【シネマートで今やってます。vol.26】『ザ・メイヤー 特別市民』 名優チェ・ミンシク×クァク・ドウォン×シム・ウンギョン!豪華俳優陣集結の衝撃の選挙戦!




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こんにちは。エスピーオー宣伝担当Yです。
2月も終わろうとしていますが、雪が降ったりしてまだまだ寒さが続いていますね・・・。早く暖かい春が来てほしいなと思う毎日です。
さて、今回は、公開から少し経ってしまったのですが、久々に韓国映画のレビューコラムをお届けします。

名優チェ・ミンシクが史上初の三選に挑む現職ソウル市長を演じ、偽装、脅迫、賄賂など、モラルなき選挙戦の現実を描いた、衝撃作『ザ・メイヤー 特別市民』です。この作品はその市長をサポートする選対本部長を演じた演技派俳優クァク・ドウォン、怖いもの知らずの若き広報担当を演じたシム・ウンギョンをはじめ、ベテラン政治記者役のムン・ソリ、市長選のライバル候補役のラ・ミランなど豪華俳優陣の共演でも話題となりました。



映画は市長が出演した公開番組で観覧席に座っていたシム・ウンギョン演じるキョンが、無謀にも「最近の市長はパフォーマンスばかりで、もっと市民とコミュニケーションを図った方がいい」と市長批判をするシーンからはじまります。何より驚かされたのは軽快なラップを歌って登場したのが、まさかのソウル市長ジョング役のチェ・ミンシクだったこと。ソウル市長のパフォーマンスということで、何だかいろんな方を思い浮かべてしまいましたが・・・。それにしても、その驚かされた登場の後のチェ・ミンシクのカリスマ感は半端なかったです。映画の中で公の場で演説や討論をするシーンが多く出てくるのですが、チェ・ミンシクが話すとまったく市民でも何でもない私まで信じてしまいそうになる説得力があって、本当に凄かった!



そして、冒頭で無謀な忠告を市長にしたことが、逆に面白い人材ととらえられ、キョンは市長選の広報担当に抜擢されます。呼び出された先に待っていたのは市長をサポートする選対本部長ヒョクス(クァク・ドウォン)。一見穏やかな感じがしますが腹の奥底では何を考えているのかわからないという、曲者感をぷんぷん漂わせながらの登場でした。クァク・ドウォンも悪役から平凡な役柄まで、ここ数年でもいくつもの話題作へ出演&主演し、ますます存在感が大きくなっている俳優の一人ですよね。



初めて政治の世界に足を踏み入れたキョンは、その新鮮なアイディアと行動力で着任早々に指示された仕事も見事に成功させ、すぐにジョング陣営の広報として頭角を現していきます。でも、選挙戦が進むにつれて、表向きのクリーンなイメージ戦略とは程遠い、汚い手段の横行を目の当たりにして若いキョンは悩むようになります・・・。



若さ、情熱、そして若さゆえの野心、現実を知った時の葛藤、この映画の中でまだ純粋できれいな心を持ったキャラクターを、カリスマ溢れる俳優たちの中で瑞々しいくらいに好演しているシム・ウンギョン。つい先日ご紹介した『操作された都市』ともまた180度違う役柄に本当に脱帽です!奇抜なキャラクターでもあった天才ピアニストを演じた「のだめカンタービレ~ネイル カンタービレ」や、代表作でもある見た目は若いのに中身はおばあちゃんという『怪しい彼女』 、そして本作まで、彼女のふり幅の広さは無限大のように思えます。


「のだめカンタービレ~ネイル カンタービレ」
(C)二ノ宮知子/講談社 (C)2014 Group8 & SPO All Rights Reserved.




また、彼女を囲む演技派俳優の一人にムン・ソリがいますが、彼女も作品によってカメレオンのようにまったく異なるキャラクターを演じられている凄い女優さんです。何となくですが、この2人タイプがとても似ているような気がします。個人的には2人の共演シーンは見応えがあり、もっと見ていたいな~と思ってしまいました。そして、女優さんと言えば、市長選のライバル候補となったラ・ミランもさすがでした。



このラ・ミランのような、"選挙戦によくいる立候補者"のモデルケースのようなキャラクターが、フィクションだけど、どこかリアルさを感じさせる要因のひとつになっていたのかもしれません。キョンは、自身も携わったCMを使ったイメージ戦略やニュースリークなどはまだ許容できても、対立候補に勝つためにヤクザを使って妨害工作を図ったり、支給された携帯に盗聴アプリが入っていたり、彼らのやることにだんだんと心がついていかなくなっていきます。そんな中である事故をきっかけにジョング陣営の雲行きが怪しくなっていき・・・。



物語が進むに連れて、そのカリスマ感、存在感がどんどん増してくるように感じられた市長ジョングを演じたチェ・ミンシク。これまで観てきた彼の役柄はどれも強烈なインパクトのある役柄が多かったのですが、彼の存在感をここまではっきりと感じさせられたのは、ある意味クリーンなイメージをまとっている役柄だったからではないでしょうか。強烈さが前面に出ている役柄というより、深く観ていくととっても強烈なものを持っている人物という感じで・・・。



キョンが広報担当になり、はじめて市長室に呼んだジョングは、子犬を見せて「私がこれは狼だと言えば、それを皆に信じさせるのが君の仕事だ」と話しますが、そのカリスマ感や只者じゃない感が半端なく伝わってきて、その存在感に圧倒されてしまいました。
良い人の中に何かがあるという感じが、どんどん増していく中で、蜜月で運命共同体のように見えていた選対本部長ヒョクスとの間も、何か怪しいものが立ち込めてき始めてきます。その頃には、この2人の汚れ切った選挙戦の行きつく先がいったい何なのかますます気になってきて・・・。



最後まで観終わると、一番インパクトが強かったチェ・ミンシクのカリスマ感だけでなく、出演者全員の強烈な存在感がたっぷりと感じられた作品でした。そして、その中でシム・ウンギョンが見せた良心が救いのようにも思え、彼女の演技をまた観たいな~と改めて感じた作品でした。

重厚な作品、サスペンスが好きな方はもちろん必見な作品ですが、意外といろんなところにたくさんの俳優さんたちが出てくるので、韓国映画がお好きな方はぜひどこにどんなカメオ出演があるかも楽しみながら観てみるのもいいかもしれません――。


映画『ザ・メイヤー 特別市民』はシネマート新宿、シネマート心斎橋にて好評公開中です。

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▽『ザ・メイヤー 特別市民』予告編



<CAST>
チェ・ミンシク/クァク・ドウォン/シム・ウンギョン
ムン・ソリ/ラ・ミラン/リュ・ヘヨン

<STAFF>
監督・脚本:パク・インジェ

2017年/韓国映画/カラー/130分
配給:クロックワークス

COPYRIGHT c 2017 SHOWBOX AND PALETTE PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.
公式HP:http://klockworx-asia.com/themayor/


エスピーオー宣伝スタッフY
韓国映画・韓国ドラマを好きになってから16年以上
時代劇からラブコメディまでジャンル問わず全般的に観ている

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