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【きゅんとあじあ】韓国映画memo キム・ナムギル主演『無頼漢 渇いた罪』 明日より公開!

2011年のこと。シネマート六本木で開催してきた数々の「祭=特集上映」の中で、この年、とある韓流スターの祭がメガヒットとなりました。そうなると当然、次のヒットが期待されます。だから決まってこう答えていました。
「そんな簡単に、次のスターなんか出てきませんよ...」。

そう言い訳し続ける中で、私の頭にはある俳優の名前が浮かんでいました。
キム・ナムギル-

そして2012年。「せっかくやるのだから、可能なもの全部」という意気込みで、劇場初公開作品を含む6作品を集めた〈キム・ナムギル祭2012〉を開催。新作にも負けない勢いの盛り上がりを見せたナムギル祭は、お陰様で大大ヒット!
その時の特設サイトがこちらです。懐かしい...

前置きが長くなりましたが、そのキム・ナムギルの主演映画がシネマートに帰ってきます!
新作としては『美人図』以来ですね。 明日からは、シネマート新宿・心斎橋へGo!

『無頼漢 渇いた罪』

無頼漢とは、「ならず者」「ごろつき」の意、だそうだ。
中国語では、「組織に属さない一匹狼」を指すという。

ファーストシーンが、良い。
渇いていて、この作品の空気に、神経がすっとスイッチし、集中していく。

刑事ジェゴン(キム・ナムギル)は、殺人犯パク(パク・ソンウン)を追っていた。パクはある企業の専務の愛人ヘギョン(チョン・ドヨン)と恋仲になり、その部下を殺害したのだ。容疑者を待ち構えるため、ヘギョンが経営するバーに従業員として潜入するジェゴン。莫大な借金と男のために身を落とし、それでもなお愛する男を待ち続けるヘギョン。専務らの執拗な嫌がらせを受けながら、同じ男の帰りを待つ無表情なふたりの間には、いつしか微かな変化が芽生えてゆく...


『シークレット・サンシャイン』でカンヌの主演女優賞に輝いたチョン・ドヨンは、恋人にしか心を開かない女を官能的に演じている。若さでは決して対抗できない、疲れた女の美しさ。同性でも惚れ惚れするくらい色っぽく、そして哀しい。
ちなみに劇中の衣装は、彼女が選んだものらしい。この役への意気込みを感じさせる。


キム・ナムギル演じるジェゴンは、職務を全うするためには手段を選ばない冷徹な刑事だ。群れることもない。身体には、思い出したくもない傷がいくつも刻まれている。仕事のためだけに生きてきたような男。とても難しい役を演じきったナムギルの演技力は、映画俳優としての今後の活躍を期待させるものだった。これからも、スクリーンで会いたい俳優だ。
ナムギルとパク・ソンウンがぶつかり合うリアルなアクションも見所。


ジェゴンとヘギョンが、互いの本心を確かめようとするシーンがある。
女の、ほんの微かな期待。それを感じながら、答えを返す男。
このシーンが好きだ。切なすぎて、好きだ。
二人の俳優の、一方でただの男と女の、間合いがそこにあった。

そして、ラストシーン...
彼は、それが愛であることに、気付いていたのだろうか...

静かに、見応えのある、良い映画だった。

(文:村野奈穂美)


10/3(土)より、シネマート新宿、心斎橋ほか全国ロードショー!
監督:オ・スンウク 『キリマンジャロ』
出演:チョン・ドヨン 『マルティニークからの祈り』『シークレット・サンシャイン』
キム・ナムギル 『パイレーツ』『美人図』
パク・ソンウン 『新しき世界』『皇帝のために』
クァク・ドウォン、キム・ミンジェ
[2015/韓国/119分/配給:ファインフィルムズ]
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オフィシャルサイト



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