■現場での韓国・台湾・中国と日本の違い

―お仕事の場面で韓国や台湾、中国の方と関わってらっしゃったわけですけど、実際一緒に働くとなると、面白いエピソードがたくさんあると思うのですが?

釜山国際映画祭15回目を記念して「カメリア」という映画の中の、短編を撮って欲しいと頼まれたんです。
そこで僕らは撮影前の映画祭を堪能しながらロケハンをして、シナリオを書いて撮影しました。
ソル・ギョングさん主演の「kamome」という作品で、日本からは吉高由里子を連れていって。日本だとロケーションマネージャーがいて、助監督がいて...という流れ作業になるんですが、韓国には助監督のプロがいないんです。監督になりたい人たちが監督を支えている。僕らはそれを知らないから、彼らがプロの助監督だと思っている。でもその助監督が監督の私に「僕だったらこう撮るな」と意見してくるのね。「撮影を出来るかどうかを聞いているんだよ!」と聞くと「それはわからない」と返答がくる。

日本だと間違いなく使える場所に連れていってもらえるけど、韓国では「話は違いますが、大胆にここで撮るのはどうでしょう?」と監督に意見してくる。逆に意見を言ってくることが楽しんでいるし、良いことでもある。ただ、やっぱり日本のやり方はきっちりしすぎている部分もあり、ヨーロッパからは規律が正しくて、時間に正確で、猪突猛進で兵隊のようだと言われることも。韓国は正反対で、全部監督次第なところがある。

面白いエピソードがあって、「ここで撮影しよう」と決めた場所があったのに、撮影3日前に「監督、あそこはダメになりました」と軽く言うんだよね。

監督「どういうこと?」と聞くと、
助監督「その場所が、実は軍の敷地で、担当だった彼が別の部隊に移動になった。」
監「彼としか会話をしてなかったの?」
助「彼がいたから出来たんですけど、他の人だと話が違うんです。」
監「それは引き継いでもらわないとダメでしょ。」
助「彼はもう去って行った。」の一点張りで。

あとね、
日本人の制作「明日降水確率70%って言ってるから撮影できないよ。どうするの?」
韓国の助監督「韓国の気象台は当てになりません。大丈夫です。」
監督「心配だから、室内のシーンを平行して準備しておけばいいじゃない?」
助「あの店の親父が明日はいないです。だからあきらめましょう。大丈夫!雨は降りません。」
当日、雨はドシャ降り。
助「監督、どうしましょう?」

こんな感じです。僕が知らないだけで、もしかすると優秀な人はいるかもしれない。ただ、中国で「真夜中の五分前」のときも同じだったから、韓国や中国はきっと「その日に撮れなければ仕方ないから、別の日に撮ろう」という風になる。

でも、予算がなくって1週間で撮影しにいっているから、スケジュールはギチギチで、予備日で撮ろうとしても、ソル・ギョングさんがその日でソウルに帰らなければならない。「こういう場合は都合よくやるんだよ」と教えても、彼らは今までそうしたことがない。

監「今までどうしたの」
助「撮れなかったら別の日に撮ればいいんです」
監「僕らは外国人だから、ずっと韓国にはいないよ。撮れる日に撮らないと」
助「監督、1ヶ月後のスケジュールはどうなっていますか。」
監「そりゃダメだよ。スケジュールだとここで完成するってなってるじゃん!」


ポン・ジュノ監督が日本で「TOKYO!」という映画を撮った時に、行定組の撮影、照明、録音などのスタッフが参加させてもらったんだけど、やっぱり日本人の方がスケジュールに沿った動きをきっちりとやる。準備をちゃんとするし、「この時間までに撮らなければいけません」と言われるし、そういう意味ではものすごく苦労もしたんだけど、このシステムみたいなものがもっと韓国にあれば、予算をもっと別のところにかけられることがわかったと、ポン・ジュノも言っていた。そういう良し悪しがお互いあるんでしょうね。

―監督はどちらの方がやりやすいですか。

僕自身は日本の方がやりやすい。というよりも、それが染み付いている。韓国に行っても僕がどんどん煽って撮るぞ!ということにはなってしまうでしょう。ただ、映画のクオリティは明らかに韓国の方が上がる。だって予算がなくなれば、プロデューサー達が予算を増やせばいいという発想ですから。

例えば中山美穂さん主演の「サヨナライツカ」。これは元々僕がやるはずだった映画を、韓国人の監督がやることになって、彼らは予算がなくなって途中で中断したと聞きました。予算が尽きたので、集まるまで待っててくれ、と。

フレキシブルだけど、採算度外視。当たればいいけど、当たらないと二度とないとか、干されてしまうシビアさはあるんでしょうね。だから、1回当たった人間には人は群がるし、またやりましょうということもあるだろうけれど、今回のチャンスをものにできなければ次はない。

-韓国の映画人はイチかバチか感がすごくあるイメージですね。

あとは、ポン・ジュノさんも「50歳を越えると後進の人たちにポジションを譲らないといけないから、みんな隠居するんだ」と言っていた。それはもう社会がそうなんですよね。
彼は「今後も映画を撮っていきたいから、外国とか海外のことも考えないといけない」と言ってた。

-日本のように、ご高齢の監督がいないですよね

実際、イム・グォンテク監督のような巨匠はいるんですけどね。ただ、やっぱり彼らは特別ですよね。巨匠として撮ってほしいという要望の中で映画を撮っている。キム・ギドクも50歳を過ぎているし、ポン・ジュノも数年したら50を越えるし。やっぱり今の韓国は変わっていっているんじゃないですか。

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