さて、そんなこんなで「パーマン」にも一旦の結末は訪れる。


前編はこちらから

パー子あってこその「パーマン」の決定打として、最終話はなんと「パー子の宝物」なのだ。
主人公を押しのけてラストタイトルを飾るヒロインなんて聞いたことがない。
しかし観ると完全に納得する。というか軽く泣ける。
なぜならパー子がついに1号に告白をするという、まさかのエンディングなのだ。

前半ではパーマン全員の宝物はなに?といった会話となり、パー子だけが頑なに言わない。
1号がやはりチャチャを入れてきて白状させようとする。もちろん言い合いにもなる。
結局その場はうやむやになる。
やがてケンカばかりでうまくいかないパー子はコピーロボットを起動させる。
ただひとり心を開いて話せる相手、自分のコピーロボットの「星野スミレ」に対して
女子のカフェトークよろしく恋の相談するあたりも憎い演出だ。
コピースミレは分身であり、前からパー子の本当の気持ちを唯一知っている存在。

そんなコピースミレが優しく後押しをする。
「ここはもう、あなたの気持ちに素直になって打ち明けよう」

もうひとりの自分に勇気をもらったパー子は、1号の部屋に手紙と箱を送る。

「さっきはごめん。これが私の命の次に大切な宝物。あなたにだけ特別にみせてあげます。」

そう書かれた手紙の内容と共に、箱の中には鏡が入っていた。
しかし1号はうっかり箱を落として鏡を割ってしまう。
じきにパーマン出動の命令がきて合流するも、怖くて言えない1号はしばらく避け続ける。
そんな態度に煮え切らないパー子は追及する。逃げ場のなくなった1号はひたすら謝る。
割った事を聞いたパー子はいつものように激怒するかと思いきや、意外な対応をする。

「鏡なんかいいの。私の宝物は鏡じゃなくて鏡に映っているもの、という意味だったの。」

そう、パー子の宝物とは鏡に映し出されたパーマン1号(ミツ夫)自身のこと。

「それが・・・私の宝物。」

なんという藤子不二雄ワールド。なんというピュアなエンディング。
心からありがとう、パー子。
パー子の苦悩がイッキに解放されてこちらもほっとして自然と涙が出る。

30年も前からこんなにも複雑でせつないヒロインをすでに描いていた藤子先生は
やはりとてつもなく偉大だ。素晴らしすぎて現段階で適切な表現がまったく浮かばない。
もう少しあとの「めぞん一刻」(高橋留美子作)も大人のラブコメとしては名作だが、
子供のヒーローアニメの中にこんなラブコメ設定をきっちり盛り込んで、
まだ恋のなんたるかも知らない少年少女に対しても、明るく描きながらも
遠い未来で僕らが感じることになるジレンマや普遍性をすでに教えてくれていたのだ。


そして30年という長い月日は流れ、僕は「ヒーラー」という韓国TVドラマで
あの頃とまったく同じ感覚で涙を流すことになる。
いや、あの頃をベースとして今のほうがはるかに夢中になり、心を打たれたかもしれない。

我々日本人には藤子不二雄ワールドが少年少女の頃から体中にしみついている。たぶん。
無意識でも無意識じゃなくても、根底にはその世界観をもれなく感動する土台がある。
言うなれば義務教育に近い。
「劇場版ドラえもん」が今でもリメイクされていくのはそういう事だろう。
韓国で視聴率がそうでもなかったのに日本で高評価なのはそういう事だろう。
僕は単純なのでそう思っている。そう信じている。

と言いつつ、それが正解でもないしその違いを主張したいわけでもない。
「ヒーラー」はあくまでも「ヒーラー」。比べるものではない。
当然大人の世界であり政治もからめばサスペンス要素も秀逸。テンポもかなり良い。
ノスタルジックな過去の青春からつながる複雑な人間模様、それぞれの思惑。
この、物語の発端となる過去の青春のくだりもなんだか泣ける。つけいるスキがない。
ダークサイドに落ちて敵のボスとなる人物に対しても、過去の描写を観ていると
少し気持ちがわからなくもないと思えてくる。
そして闇の便利屋ヒーラーはただひたすらヒロインを守るべく、ビルを走る。

主人公チ・チャンウクとヒロインのパク・ミニョンのそれはとても語り尽くせない。
ほぼすべてが完璧なのだ。スリリングでスタイリッシュで切なくてただただ眩しい。

しかし敢えて言いたい。僕が激しく惹きつけられるのはヒーラーの子分(妹分)だ。

ヒーラーと同様に裏社会で生き、命令を頑なに守り、陰で支える。
ヒーラーが必要とすればいつでも駆けつけ、どんな無茶でも任務を遂行する。
尊敬以上の感情がきっとある(推測)のに決して表に出さない。出してはいけない。
華麗なアクションもカッコよく、献身的で無邪気でかわいくてせつない。
出番はさほど多くないので誰も気にしちゃいないかもしれないが、あんた最高だよ。
吸い込まれるほどにカッコよく任務をこなすヒーラーがナンバーワンだが、
裏で子分のデヨンがほぼ完璧に命令をこなしているからこそヒーラーはさらに輝く。

もちろん時代、設定、立ち位置も違うけどパー子のように「ヒーラー」の世界観に
深みを生み出してくれている、少なくとも僕の中では間違いなく影のヒロインだ。

それを踏まえたうえで言うが、任務でヒロインに近づくため「ボンス」という
ダメキャラに偽装をして表の世界に出てくるヒーラーは、徐々に感情が芽生えてきて
自ら設定したもうひとりの「仮面の自分」の時に身動きがとれずジレンマを感じてくる。
ヒロインのヨンシンが好きなのはボンスのほうでなはく闇のヒーラー。
つまりヒーラーは「パーマン1号の状況であると同時にパー子のような状況も併せ持つ」。

作家の思惑と的外れかもしれんが僕にはパー子が現代に蘇ったようで勝手に嬉しくなった。
心からありがとう、「ヒーラー」。

と、思いながら観てたものの実はこれは中盤あたりまでの感覚で、
それ以降はこちらの予測をはるかに上回るペースの展開となり、
それまでの感情ははるか彼方へぶっ飛ぶほどのめり込んでしまう。

これはヒーラー自身がまったくためらう事なく突き進むことも影響する。
僕も含めてだが世の男性諸君はヒーラーを見習うべきであり、男にこそ観て欲しい作品だ。
心に葛藤を持つ人間である事には間違いないのだが、こうと決めたらとにかく速くて強い。

そしてそれを見事に演じきったチ・チャンウク。
あっという間に僕の中でナンバーワン俳優に躍り出たことは言うまでもない。

しかし最近のうちのドラマは心からシビれるものが多いな。
素晴らしすぎて現段階で適切な表現がまったく浮かばない。
といったところで今日も遠くで誰かが呼んでいるのでそろそろ出動する。


パワッチ!


<筆者プロフィール>
名前:UMS(エスピーオー男性社員)
出身地:福岡県北九州市
本日のUMS気まぐれベスト3
☆スーパーヒーロー・ベスト3☆
1位:ヒーラー
2位:パーマン1号
3位:長嶋茂雄


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