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【きゅんとあじあ】 2015東京・中国映画週間 メガヒット作『モンスター・ハント』

いや~面白かった! 可愛かった!
人間より先にCGのモンスターが登場するのですが、これがプクプクしているし、全然怖くないし。
子供だったら完全に心鷲掴みです。ハリウッドを向こうに回し、堂々のクオリティ。
と思ったら、監督のラマン・ホイ(シュー・チョンイー)はドリームワークス出身なんですね。なるほど、なるほど。

この作品が大ヒットしているよ~というのは、7月のニュースで紹介していますが、
この記事以降の状況としては、最終的には洋画を含む中国歴代興収のNo.1を獲得。興収は約487億円!ということで、数字的には、"全然可愛くないモンスター"級となっています。

ただ、先のニュースにもあるように、撮り直しによる製作費の増加により、後にヒットした『煎餅?』に比べて、製作サイドに残る純利益は低かったという分析もあったようです。


さて、タイトルからすると人間によるモンスター退治のお話で、結構激しい対立シーンがあったりするのかなぁと思っていましたが、全然そんなことありません。もちろん闘うんですけどね。

古代、人間と妖怪は共存していたが、やがて対立するようになり、妖魔ハンターによって、人里に下りてきた妖怪が退治されていた。永寧村の若き村長テンインは裁縫と料理が得意な、男としてはちょっと頼りない青年。その彼が妖怪に狙われたところを、女ハンターのシャオランが助ける。その妖怪たちの中には身ごもった皇后がいたが、敵の妖怪に襲われた皇后は、卵をテンインにのみ込ませ絶命。やがてテンインは妖怪の子フーバーを産み、シャオランとともに子育てに奮闘する。順天府に到着したふたりは、一旦はフーバーを手放すが、人間に食べられようとしているフーバーを救出するため登仙楼に乗り込む。しかし彼らの前に、人間に化けていた妖怪グーが立ちはだかる。果たして、妖怪退治の闘いやいかに......

というストーリーが、笑いあり、涙あり、ミュージカルシーンありと、テンポよく進行していきます。
主演は、クー・チェンドンの残念な不祥事によりバトンを受け継いだジン・ボーランと、バイ・バイフー。で、その他のキャストがまたすごかった!
まず、皇后を護衛する妖怪に、エリック・ツァン、サンドラ・ンが登場! すかさず客席からは笑いが起こります。さらにこの二人が歌っちゃうもんだからもう...(笑)
続いて何かと邪魔をしてくる妖怪ハンター役にジャン・ウー(姜武)。
麻雀好きの女将にタン・ウェイ(湯唯)! ここでも客席がざわつきます。
最後の妖怪にウォレス・チョン(鐘漢良)、テンインの祖母にエレイン・ジン(金燕玲)、妖怪料理の名人にヤオ・チェン(姚晨)といった具合です。

さらにスタッフも錚々たるメンバー。製作に「レッドクリフ」のビル・コン(江志強)、脚本に「ファイヤー・ストーム」のアラン・ユエン(袁錦麟)、美術監督に種田陽平、コスチュームデザインにイー・チョンマン(奚仲文)らの名前が。

モンスターの中では特に、大根みたいな赤ちゃん妖怪のフーバーが可愛くて可愛くて、無性に抱きたくなります。夕飯はお鍋にしようと思っていたのですが、大根買えませんでした。これからの季節、困りものです。グッズがあったら買ってしまいそうな勢いです。
大人も子供も楽しめるモンスター映画なので、日本語吹替版があったらいいのに、と思いました。

本作が伝えたいことは、おそらく「共存」。
人間でも妖怪でも、違う民族でも、ひとりひとりは良い奴だし、「情」だって沸くし、そうなれば闘いなんて無意味だよね。そんな未来への希望を思わせる素敵なエンターテインメントムービーでした。(文:村野奈穂美)


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「モンスター・ハント」 原題:捉妖記 Monster Hunt (2015)
大ヒット!中国の怪しくも可愛い妖怪ワールドへようこそ
監督:ラマン・ホイ(許誠毅)
主演:バイ・バイフー(白百何)、ジン・ボーラン(井柏然)、ジャン・ウー(姜武)
2015東京・中国映画週間『モンスター・ハント』作品ページ



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