レポート:村野奈穂美 (シネマート六本木 元支配人)

皆さんは、誰かにどっぷりとハマりたいな~という時と、反対に、色々と余裕がないので誰にもハマりたくないと思う時はないでしょうか? 私が蘇打綠(ソーダグリーン)という台湾のバンドの存在を知ったのがまさに、幸か不幸か、その後者の時期でした。

彼らとの接点は何度かありました。
まず、台湾でCD屋さんに立ち寄った時。インディーズのCDが並ぶコーナーに面出しされている、ポロシャツを着た男の子が写った緑色のジャケットが目に留まりました。私はそのジャケットが気になり、何度も手に取っては棚に戻し、そして「蘇打綠」という手書きの文字だけをインプットして帰りました。調べると、台湾で注目を集めているバンドの名前でした。そしてそれは、彼らのファーストアルバムでした。

その次が、2008年9月。台北小巨蛋で行われた幾米音樂劇《向左走‧向右走》。
張鈞甯(チャン・チュンニン)、陳柏霖(チェン・ボーリン)、楊祐寧(ヤン・ヨウニン)という大好きな俳優たちがチャレンジした、絵本作家・幾米のミュージカル! その音楽を担当し、〈左邊樂團〉という名で出演していたのが蘇打綠でした。(台風直撃が思い出深い)

その直後の10月。マレーシアのアーティスト、ピート・テオ目当てに行った、東京アジアミュージックマーケット(TAMM)というショーケースのトリを飾ったのが蘇打綠でした。
いずれも、「蘇打綠も見られて得したね」「なかなかよかったね」「でもまあ、もうちょっとこう...」とかなんとか偉そうなこと言って、翌日に開催された渋谷La.mamaでのワンマイライブが気になりながらも、何とか今まで避けて通ってきたのでした。

彼らはデビューから10年という時を経て、トップアーティストへと登り詰めます。
そして、あの2008年から7年ぶりとなる、2度目の来日が実現。
私はやはり「ハマりたくないんだよな~」と思いつつ、でもどこか期待を抱きながら、会場へと向かいました。

結果から言うと...
ライブから数日後、私の手元には友人から借りた5枚のCDが。これってもう完全に(笑)
予感はしてたんだ。夢中になれる音を探していたタイミングだったから。


前置きが長くなりました。
ライブレポートに進みましょう。
会場は品川ステラボール。今やドームクラスの動員を誇る彼らのライブを、この規模で体験できるというのは、ものすごくラッキー。

暗転したステージに、ドラムの小威(シャオウェイ)が登場。宇宙服を連想させるメタリックシルバーの衣装に身を包んだメンバーが、ゆっくりと持ち場につきスタンバイ。最後にボーカルの青峰(チンフォン)が登場。グリーンのサイリウムが揺れる。

(写真:ボーカル 青峰(チンフォン))


(後列)Key.阿龔(アコン)Dr.小威(シャオウェイ)
(前列)Gt.小洋(シャオヤン/サポート)Gt. 阿福(アフー)Vo.青峰(チンフォン)Ba.馨儀(シンイー)Gt.家凱(ジャーカイ)


7年ぶりに日本で奏でる1曲目は、ツアータイトル曲≪再遇見≫。
青峰の「TOKYO~」の声に歓声が起こる。
≪小宇宙≫では、青峰が「ミンナ~」と呼びかけ、LaLaLaに合わせて大合唱。
≪狂熱≫で、赤い拡声器を持って歌う青峰がかっこいい。

大きなスクリーンには、お馴染みの手書きの歌詞が映される。
そしてメンバーの画像や動画と、曲のイメージに合わせたCGが見事にシンクロしていく。
さらにそれを、計算された照明が彩る。
ああ、表現力のあるバンドのライブって、派手なセットなど必要ないんだな~と、思わされる。


一気に3曲突っ走った後、ギターでリーダーの阿福(アフー)が、
「みなさんこんばんは! ソーダグリーンです!」と見事な日本語で挨拶。

(写真:ギター 阿福(アフー))

阿福 「日本語を勉強してきたよ」 「シリマセン」 「ナイ、ナイ、ナイ」
青峰 「オカエリ」「タダイマ」 (か、かわいい...そして上手い)
阿福 「7年だよ」
青峰 「渋谷のLa mamaだよね? 来た人いる?」
MC中に大声で話しかけるファンに向かって青峰が「ダイジョブデスカァ?」と皮肉の一発(笑)
青峰 「ニホンジンノカタ、イマスカ?」 一斉に上がる手に、「ほんとに? ニホンジン? エ~?」

なんと......演奏中とのギャップがありすぎるトーク。
ちなみにライブが終わるまで、聴き入る→笑う→聴き入る→笑う、がループするのでした。

4曲目は、シネマート六本木で公開した『ウェスト・ゲートNo.6』の主題歌≪小情歌≫。
やっぱり好きだな~この曲。
そして≪無與倫比的美麗≫では、「歌える?」という青峰の問いかけで観客が歌い始める。それを少しの間、確かめるように聞く青峰。スクリーンには花びらが舞っている。

キーボードの阿龔(アコン)が、ヴィオラを持って前方へ。
≪你被寫在我的歌裡≫は、もともとはEllaとのコラボ曲。今回は紅一点、ベースの馨儀(シンイー)と青峰のデュエット。Ellaに負けず劣らず可愛い声。

(写真: ベース 馨儀(シンイー))


馨儀 「みんな、誰が誰だか分かる?」
青峰 「僕は、アオミネ。ミネチャン、でいいよ。違った、ミネクン、だね」
馨儀 「日本語は全然分からないわ」
青峰 「(馨儀に)アナタハイクラデスカ? 冗談、冗談」

かわいい声で、ちょいちょい毒をふりまく青峰。これはクセになりますね。


ギターの家凱(ジャーカイ)の挨拶に続き、ドラムの小威が次の曲を紹介する。

(写真:ドラム 小威(シャオウェイ))

7曲目は、新曲≪Everyone≫。
英語の歌詞に、ベルリンなどのモノクロの風景が映し出される。
まるで青峰の声に乗り、ヨーロッパの空を飛ぶような気持ちになる。
≪愛人動物≫では、切り抜かれた動物のシルエットをバックに、演奏中のメンバーの姿が浮かぶ。3本のギターが、それぞれの旋律を奏で重なってゆく。

(写真:ギター 家凱(ジャーカイ))


ピアノのイントロで始まる≪我好想你≫。そこにエレキの泣くような音が加わる。
青峰の高音が、どんどん伸びてゆく。
立ち尽くすメンバーのシルエット。そしてひとりずつステージから去ってゆく。

ボーカルとピアノのみで歌いあげる≪雨中的操場≫。
途中、物語のように歌詞を読み上げる。
雨の映像はやがて、ピアノに呼応するように跳ねる大粒の雨となり、最後は水たまりになる。

青峰と阿龔も舞台袖に下がる。
入れ替わるように小威が出てきてドラムをドン、ドン、ドンと鳴らすと、観客が手拍子で答える。
サポートギター小洋(シャオヤン)のギターのリフが響く。
家凱と阿福がそれに加わる。
最後に、馨儀と青峰もステージへ。

≪包圍≫では、スタンドマイクに横向きで立って歌う青峰。
激しく鳴らされるオルガンの音色に、エレキの歪んだ音が重なるイントロから、高速の≪白日出没的月球≫。途中から急激に緩やかになり、青峰がファルセットで歌い上げる。

小洋がしゃがんでエフェクターをいじりながら、ギュイーンギュイーンとギターを鳴らす。
青峰の、ディレイのかかった幻想的なセリフが響く。そして一瞬の静寂。

機械的な効果音が鳴らされると、さあ、ここからはダンスタイム!
≪四季狂想≫でスクリーンはレインボーカラーに。
阿福と阿龔が両腕を上げ、家凱がギターを弾きながらくるくる回る。
≪暫時失控≫では一転、真っ黒なスクリーンに白線が躍り、格子やボーダーに変化する。
ロックが加速してゆく。

馨儀 「続けていい? 熱くなりたい?」
阿福 「熱いよ(笑)」
馨儀 「次は、阿龔と一緒に踊って盛り上がろう」
阿福 「1、2、3、Oh Oh! イッショニ!!」

(写真:キーボード、ヴィオラ 阿龔(アコン))

15曲目となる≪一起喔喔≫。
sodagreenと書かれた大きなメガホンを持つ青峰。
阿龔のダンスが始まった。
いつの間にかジャケットを脱いだ家凱と青峰が、背中合わせになって歌う。
サビの「一起喔喔」の部分では会場も「Oh! Oh!」と声を合わせる。
「もっと高く!」と青峰が煽ると、オーディエンスはさらにジャンプ!ジャンプ!

大歓声の中、ギターのイントロが響く。
≪控制狂≫では、「Wow Wow Wow~」の大合唱。
阿龔のダンスは...どうも、オネエっぽいというか...(笑)
小威のドラムに合わせて、会場から沸きおこる「sodagreen」コール。

(写真:阿龔と家凱)

阿龔がリンボーダンスのようにキーボードの下をくぐり、定位置に着く。
青峰の「準備はいい~?」の声から、≪相對論Ⅳ≫へ。軽快に鍵盤を叩き鳴らす阿龔。

歌の途中、スクリーンに超ドアップで映し出される阿龔を、「近すぎる!」とか、色々いじりまくるメンバー。そのドアップ具合にさんざん笑った後は、再び青峰の「準備はいい~?」から、ダンスタイムはクライマックスへ。

そして話題はアンコールの掛け声について。
普通に「アンコール、アンコール」言ってもダレルでしょ?とかいう話から、「衣装を替えてくるから、最後の歌が終わったら90秒数えて、その後で元気にアンコールって言ってね」という提案が。
ちょっと色っぽく「イチ♡ニ♡サン♡ヨン♡」と日本語で数える青峰。

スクリーンには、青々とした地球や、太陽が昇ってゆく瞬間が写し出される。
遂に最後の曲≪近未來≫

ここまでが本編。全18曲。約1時間50分。
この後、これまた盛りだくさんなアンコールへと突き進むのですが-

(写真:家凱と青峰)


メンバーがステージから下がると、自然発生的に「イー、アール、サン、スー」とカウントが始まる。何とも素直に楽しむファンたち。90秒に達し、「アンコール!」の声と手拍子が続く。
少しすると、メンバーがステージに登場。

白地に大きなイニシャルがプリントされたTシャツに着替えたメンバーたち。

ここからはリクエストタイムに突入~
リクエスト曲を叫ぶファンとメンバーとのトーク、トーク、トーク!
必死に聞き耳を立てるけど早くてほとんど分からん! でも楽しい。
振り返れば1時間弱というボリュームのアンコール。ここまでくると立派な第2部ですね。

日本のファンからのリクエストは「雪の華」。「ワスレチャッタ~」とキュートにおどける青峰。
しかし歌い出すと、日本語の歌詞も完璧!

2曲目は、すごくプレッシャーがあったという、チャン・イーモウ監督作『妻への家路』の主題歌「跟著你到天邊」。

続いて台湾語曲「無眠」。
終盤、「歌える? 中国では怪しかったよ(笑) 日本のファンは? 台湾語だけど大丈夫? またまた~(笑)」とファンの反応を確かめる。

次は、青峰がとってもとっても好きだという、艾敬(アイ・ジン)の「東京餐館裡的China girl」。
渋谷のレストランで出会った、中国人ウェイトレスのことを歌った歌。
「みんなも東京にいるってことは、留学とかかな? そんなに単純じゃないよね? 異国で頑張っているということは、苦労もあると思うんだ。そんなみんなに、この歌を送ります」

「サクラ~、サクラ~、ヤヨイノソラ~」というアカペラから「東京餐館裡的China girl」へ。
小洋がアコギを力強く鳴らす。
まったく、なんなんだ、この声は!
故郷を離れて暮らす人々の心に、深く沁み込んだに違いない。


間髪入れず、椎名林檎の「歌舞伎町の女王」「浴室」のカバーへと続く。
女性シンガーの歌は、青峰の声に驚くほどぴったり!


青峰が、「私を指して!」というボードを持った二階席の女の子4人組を当てると、キャーキャーと喜ぶ女の子たちがスクリーンに映し出される。微笑ましい。彼女たちは「微光」をリクエスト。
トーク中、やたらと声をかけるファンに向かって、「またアンタなの!1日3回までだよ!」と突っ込む場面も。痛快。

曲はしっとりした「微光」から、「蟬想」へ。

MCではアンコールに続く第二の指令が。
各国のSNSで、この日本公演の感想を拡散するときの共通ワードが出されました。
今回のパスワードは、「彼の日本語の歌は完璧で、歌詞も一言も忘れませんでした」(笑)

続いて、どこから来たの?というアンケートタイム。出身地を呼ばれた観客が手を上げる。
「香港」「台湾...ほんと?すごくたくさん来てくれた」「北京...ちょっと少ないな(笑)」「上海は?」「その他は~?」て...こら、日本はどうした?と思ったら、「重要な、日本は?」と馨儀。
「ニホンジンノカタ~?」「ホント? フーン...」(他の人も挙げているでしょ、と疑いの目の青峰)
「毎年日本のファンが台湾まで来てくれているんだけど、中国語分からないよね?」
「ゴメンネ~」「ベンキョウシマス」と青峰。

最後のナンバーは≪當我們一起走過≫
歌いながらステージの下に降り、最前列の前を通って反対側へ移動する青峰。
スクリーンには今までの想い出が詰まったメンバーの写真が映し出される。

青峰の「謝謝!おやすみ!」という声の後、メンバーが全員前に出て手を繋ぎお辞儀。
「マタ、マタ、オヤスミナサイ、バイバイ!」と言って去っていくメンバーたち。
こうして、約2時間50分に及ぶ日本公演が終了しました。

息の合ったMCでは、ファンとキャッチボールをしながら大いに盛り上げる。
一方、歌になると、その声や歌詞から広がる世界観で魅了してゆく。
そして、この類まれなボーカリストをしっかりと支える、メンバーの演奏と、舞台演出。
蘇打綠は間違いなく、アジアを代表するエンターテインメント・ロックバンドだ!

蘇打綠、聴いてみようかなぁ...でも何から聴いたらいいのかなぁ...という方!
シネマート的アプローチからするとやはり、『ウェスト・ゲートNo.6』の主題歌「小情歌」でしょうか。
オタメシアレ。(文:村野奈穂美)

(Special thanks:Hitomi)


◆セットリスト (タイトル+収録アルバム名など)
8月21日(金)
〈再遇見〉Sodagreen 2015 World Tour "Hello Goodbye" in TOKYO

再遇見 - 《秋:故事》
小宇宙 - 《小宇宙》
狂熱 - 《夏/狂熱》

小情歌 - 《小宇宙》、映画『ウェスト・ゲートNo.6』主題歌
無與倫比的美麗 - 《無與倫比的美麗》
你被寫在我的歌裡 - 《你在煩惱什麼》

Everyone - 新曲
愛人動物 - 《陪我歌唱》
我好想你 - 《秋:故事》、映画「小時代」主題歌
雨中的操場 - 幾米《幸運兒音樂劇原聲帶》

包圍REMIX - 《夏/狂熱》
白日出没的月球 - 《無與倫比的美麗》

四季狂想 - 《無與倫比的美麗》
暫時失控 - 《小宇宙》

一起喔喔 - EP
控制狂 - 《你在煩惱什麼》

相對論Ⅳ - 《蘇打綠》
近未來 - 《夏/狂熱》

※アンコール(リクエスト)
雪の華 - 中島美嘉Cover
跟著你到天邊 - 映画『妻への家路』主題歌
無眠 - 《夏/狂熱》
東京餐館裡的China girl - 艾敬Cover
歌舞伎町の女王 - 椎名林檎Cover
浴室 - 椎名林檎Cover
微光 - 映画「小時代3」主題歌
蟬想 - 《夏/狂熱》

當我們一起走過 - 《你在煩惱什麼》

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